GRR(Gage Repeatability and Reproducibility)とは?
GRRとは、測定システムの信頼性を数値的に評価する手法で、特に製造業や品質保証の分野で用いられます。正式には「Gage Repeatability and Reproducibility」と呼ばれ、測定に関わるばらつきのうち、測定機器そのもののばらつき(Repeatability)と測定者によるばらつき(Reproducibility)の両方を評価します。
主な構成要素
- Repeatability(繰り返し性): 同一の測定者が、同一の測定機器・同一条件下で繰り返し測定したときのばらつき
- Reproducibility(再現性): 測定者が変わることによって発生するばらつき
評価方法の流れ
- 異なる部品(通常10個)を準備
- 複数の測定者(通常3人)が、各部品を2〜3回ずつ測定
- 得られたデータをもとに統計的に分析(平均と範囲法、ANOVA法など)
代表的な計算式
- EV(Equipment Variation)= R̄ × K₁
- AV(Appraiser Variation)= √((X̄max − X̄min)² / 6)
- GRR = √(EV² + AV²)
- %GRR = GRR / σ_total × 100%
GRRの評価基準
GRR比率 | 評価 |
≦10% | 非常に良好:測定システムは信頼できる |
10〜30% | 改善の余地あり:用途により許容 |
>30% | 問題あり:測定方法または機器の見直しが必要 |
なぜGRRが重要か?
測定値が信頼できなければ、良品を不良品と判断してしまう、またはその逆といった誤った判断につながります。GRR分析を行うことで、工程管理や品質保証において「測定」という基盤の信頼性を確保できます。